笹見の塩から揚げ

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第39回 「笹見の塩から揚げ」

笹見の塩から揚げと「純米ひやおろし 浦霞」


いよいよ「ひやおろし」の季節がやってきました。春に出来上がったお酒をじっくり半年寝かせることによって、味が落ち着き、少し熟成もされて”大人の味わい”になるのは、皆様よくご存知かと思います。ぴちぴちした新酒もいいですが、過ごしやすくなってきた初秋には、やはり”ひやおろし”がしっくりときますね。そんなひやおろしの王道とでもいうべき「純米酒ひやおろし 浦霞」を今回はご紹介します。軽快にするっと口に入りますが、少しアルコール度数も強めで酒としてのしっかり感もあり、精米歩合65%で米の旨みも出るような工夫がされています。お燗の推奨温度帯は、暑くも寒くもないこの時期ならではの人肌からぬる燗あたりがよろしいかと思います。どうぞ優しい米の旨みを存分に味わってください。

空前のから揚げブームですね。専門店もあっという間に沢山できました。そんな老若男女を魅了するから揚げですが、比較的軽快なタイプのひやおろしには塩味のから揚げがよろしいかと思います。肉も笹身を使えばぐっとカロリーも減りますし、高たんぱくでヘルシーです。調味も塩の代わりに塩麹を使えば、マイルドな味わいになるだけでなく、酵素力で肉も柔らかくなり、ぱさつきもなくジューシーです。


<材料>2人分
笹身(ささみ) 3本
塩麹 小さじ1
片栗粉 適宜
揚げ油 適宜
すだち 1/4個

<作り方>
1.笹身は筋をとって5等分程度にそぎ切りし、塩麹を振りかけ10分程度置く。
2.1に片栗粉をまぶし、170度程度の油で3分ほど揚げる。
3.盛り付けたら好みでスダチなど柑橘系を添える。

<ワンポイントアドバイス>
1.塩麹がない場合は塩を1/3量で作ってみてください。
2.そぎ切りすることにより、表面積は広く、厚さは薄くなるのですぐに調味料がきき、火も通り易くなります。
3.片栗粉をつけたら、置かずにすぐに揚げてください。粉が吹いた感じでかりっと美味しく揚げることができます。
4.今回はスダチを添えましたが、コショウやマヨネーズなどでもお酒との相性を試して見てください。

うなぎの緑酢

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第38回 「うなぎの緑酢」

うなぎの緑酢と「賀茂鶴 本醸造 からくち」


毎年のこの時期になるとつぶやいている気もいたしますが、立秋を過ぎたというのに今年の夏は本当に厳しいですね。つい冷たいものを飲みすぎて、胃腸の調子が悪い方も、多いのではないかと思います。夏こそぜひ体に優しいお燗酒をどうぞ。

今回ご紹介するのは「賀茂鶴 本醸造 からくち」です。こちらのお酒は2013年スローフードジャパン燗酒コンテストの「お値打ち燗酒熱燗部門」で見事金賞を獲得されています。胃に刺激の少ない低めの温度で冷奴などとともにスタートしていただき、徐々に温度を上げて飲んでいただければと思います。本醸造の辛口ならではのスッキリとした味わいは夏にぴったり。お口のなかではうなぎの脂とうまく溶けあってそれぞれの風味が生き、新たな味わいも生まれてきます。先に一口お酒を含んでからうなぎを召し上がったあとは、今度はうなぎをまずお口に入れてからお酒を含んでいただくと、全く感じ方が変わってきます。どうぞいろいろとお試しいただき、好きな味わいを極めていただければと思います。

今年の夏は土用の丑が2日ありましたが、うなぎは召し上がられましたか。土用の丑に鰻を食べる習慣は、平賀源内が広めたとされていますが、もともと丑の日に”う”のつく食べ物を食べると夏ばてしないといわれていて、それをもっとアピールして浸透させたようですね。うなぎは白焼きで山葵醤油か、うな重で召し上がることの多いかと思いますが、さっぱりと胡瓜をつかった緑酢でおつまみにしてみました。
市販のパック蒲焼でも日本酒を振りかけてオーブントースターで温めれば、外はかりっと、中はふわっと戻ります。ぜひお試しください。


<材料>2人分
市販のかば焼き 1枚
きゅうり 2/3本
酢 小さじ2
砂糖 小さじ1/2
塩 少々

<作り方>
1.蒲焼は日本酒を小さじ2程度ふり(分量外)、アルミホイルで包んで、オーブントースターで数分蒸し焼きする。
2.キュウリは洗って、すり下ろし、ザルでこして余分な水分を取ってから、酢、砂糖、塩少々で調味しておく。
3.温まった蒲焼を食べやすい大きさに切って2をかける。

<ワンポイントアドバイス>
1.市販の蒲焼についているタレは使用しなくて大丈夫です。
2.キュウリは水分が多いので、すり下ろしたら必ずザルで水分を切ってください。ぎゅっと搾る必要はありません。
3.緑酢は早めに酢を入れてしまうと退色してしまいます。召し上がる際に調味してください。

白妙(しろたえ)揚げ

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第37回 「白妙(しろたえ)揚げ」

白妙揚げと「一品 辛口純米」


じとじとと蒸し暑い毎日ですね。そんなときはつい冷たいものを飲んでしまいがちですが、あとでおなかを壊したり、妙に疲れたりすることがよくあります。また冷房でかなり体は冷えています。ぜひ体に優しいお燗酒でいたわってあげてください。

今月ご紹介するのは、茨城の吉久保酒造「一品 辛口純米」です。さらっとした口当たりの中に旨味も兼ね備えたお酒で、38~40度あたりでふわっといいやさしさが出てきます。

夏の食材が一気に揃ってきて、美味しくなってきました。枝豆ととうもろこしを使って、天ぷらとはちょっと一線を画す揚げ物にしました。 白妙(しろたえ)揚げといって白い衣のままかりっと揚げるかき揚げです。揚げ物はどうも苦手という方も多いかと思いますが、ミラノ風カツレツの要領でそんなに油の量はいりません。1センチ位で十分です。コツは衣が固まるまで2分くらいは返さないことです。それさえ守れば誰でも簡単に作れます。またあまり時間をかけていると揚げ色がついてしまいますので、材料は火が通りやすいものか、事前に通したものを使いましょう。抹茶塩を添えましたが、岩塩でも天汁でも合います。野菜の甘さを辛口のお燗酒で堪能してください。


<材料>2人分
枝豆(さや付きで茹でたもの) 70g
とうもろこし 40g
小麦粉 50cc
片栗粉 50cc
水 80cc程度
卵白 1個分
揚げ油 適宜

<作り方>
1.枝豆は茹でて、さやから身を出してボールに入れる。
2.とうもろこしは、実をを包丁でそいで、ボールに入れる。
3.衣を作る。小麦粉と片栗粉をボールにいれ、水と卵白を加え混ぜておく。
4.1,2にそれぞれ衣を適宜加えて、大匙1程度を油を敷いたフライパンに落としていく。2分程度で衣が半透明になるので、そうしたら返し、30秒程度で引き上げる。
5.器に盛り、好みで塩か天汁で食べる。

<ワンポイントアドバイス>
1.油は焙煎したごま油などは合わないので、新鮮なサラダ油など癖のないものを使いましょう。
2.揚げる大きさは一口サイズにしましょう。
3.ほかに合う具は紅生姜、芝海老なども美味しいです。

夏野菜の水貝風

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第36回 「夏野菜の水貝風」

夏野菜の水貝風と「澤乃井 純米銀印」


毎年4月から5月にかけて独立行政法人酒類総合研究所主催の全国新酒鑑評会が行われます。今年で103回目を迎える歴史ある鑑評会ですが、そこで見事、金賞を受賞した小澤酒造さん。このお蔵は青梅線の沢井駅そばにあって、多摩川のせせらぎが聞こえるとても東京とは思えない風光明媚な場所にあります。大吟醸から熟成酒まで沢山のラインナップをお持ちですが、今回はお燗にぴったりな「純米銀印」をご紹介します。このお酒、純米で80%精米なのですが、非常に軽快です。アルコール感もあって辛口好きにはたまらないでしょう。お燗は43度くらいの定番な温度でキリリとまさにいぶし銀のごとくいい感じに光ります。じめじめな日は体力も消耗します。お燗で体を温めて明日への英気を養ってくださいね。

急に汗ばむ季節になってきました。梅雨の晴れ間は日差しも強く、夏を思われる日も多いですね。湿度が高いとどうしてもさっぱりしたものが食べたくなってくるかと思います。そんな日にぴったりの料理をご紹介します。 水貝は鮑を角切りにして塩水に浮かべた料理のこと。よくモロキュウとともに出てきますが、そうそう簡単に活けの鮑は手にはいるものでもないですし、第一財布に優しくないですよね。そこで夏野菜を昆布出汁に浸して水貝風に召し上がっていただこうと思います。


<材料>2人分
長芋 1cm
パプリカ 1/6個
きゅうり 1/2本
プチトマト 1~2個
グリーンアスパラ 2~3本
枝豆 数本
つぶ辛子 小さじ1
白味噌 大さじ1
砂糖 小さじ1
酢 大さじ1
昆布出汁 1カップ
塩 小さじ1
氷 適宜

<作り方>
1.長芋は1cmの輪切りにしてから皮をむき、一口大に切っておく。

2.パプリカはレンジで1分程度温め火を通し、すぐに水にとって冷やしてから1と同じ位の大きさに切っておく。
3.キュウリも食べやすい大きさに切っておく。
4.プチトマト大きければ1/2にカットする。小さいものは湯むきしておく。
5.グリーンアスパラは下のほうだけ皮をむいてゆでてで冷水にとって3cmにカットする。
6.枝豆はゆでで中身を出しておく。
7.辛子酢味噌を作る。まず白味噌と砂糖を耐熱容器に入れて、10秒程度レンジにかけ、砂糖が溶けたら酢とつぶ辛子を加える。
8.器に~6を盛り付け、昆布出汁に塩を加えた汁を注ぎ、氷を適宜入れる。辛子酢味噌は小皿に入れ添えて出す。好みでつけながら食す。

<ワンポイントアドバイス>
1.使う野菜はサラダに使う野菜なら何でも合いますが、冬瓜、石川小芋、ナスなど夏野菜を入れていただくとより旬を感じていただけるかと思います。葉物はくたっとなるので入れないほうがいいでしょう。冬瓜は重曹でゆでて水にさらしてから使ってください。
2.辛子酢味噌は、今回は酸味があって辛味の少ないつぶ辛子を使いましたが、普通の辛子なら、半分の量にしてください。
3.マヨネーズ+わさびや、金山寺みそなど、お好きなディップで召し上がってください。
4.ちょっとお行儀は悪いですが、野菜が浸かっていた昆布出汁自体、酒のあてになります。全部飲んでしまうと塩分過多になってしまいますが、ぜひお味見はなさってみてください。野菜のうまみが出ていておいしいですよ。

鰹の和風タルタル

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第35回 「鰹の和風タルタル」

鰹の和風タルタルと「富成喜 純米吟醸 限定二百貫」


まさに風薫る5月、木々の緑も美しい、爽やかな季節がやってきました。4月の歓迎会、連休の外出もひと段落、おうちでじっくり飲める時期ではないでしょうか。

今回ご紹介するお酒は「富成喜 純米吟醸 限定二百貫」です。使っている酒米は「神力(しんりき)」という復刻米です。明治時代西日本を中心に広く作られていた米だったのですが、しばらく途絶えていました。が、平成に入り復活し、徐々に使われるお蔵も増えてきています。そんな神力米を契約栽培し限定二百貫(750キロ)の小仕込で大事に作られたのがこのお酒。酵母も自社酵母を使用しています。 常温だと、15度とは思えないボリュームのあるアルコール感とキレを感じ、40度まで上げるとうまみのボリュームが出てきます。45度ですと逆にきゅっとしまった味わいになり、なんとも面白い変化を遂げます。どうぞ七変化をいろいろな温度で味わっていただければと思います。

旬の鰹を使って和風のタルタルを作りました。タルタルとは、もともと細かく刻んだ野菜を入れたソースの名前ですが、食材を刻んで合わせて使うこともタルタルというようになりました。鰹は古くから日本人に食べられてきており、良質のタンパク質や鉄分、ビタミンなどを多く含んでいます。一般にはたたきか刺身で召し上がることが多いかと思いますが、刻んでしまうことで固い筋の端の部分も食べやすくなりますので、ぜひ和のハーブとともに混ぜて召し上がってください。


<材料>2人分
鰹 80g
きゅうり 1/2本
みょうが 1個
しょうが 少々
塩・こしょう 少々
サラダ油 小さじ2
レモン汁 小さじ1
醤油 小1/2程度

<作り方>
1.鰹は荒くたたいて、醤油を振りかけておく。

2.キュウリ、ミョウガ、ショウガは粗目のみじん切りにして塩を少々振って5分くらいおき、出た水分は捨てておく。
3.ボールにサラダ油、レモン汁、塩・コショウを入れてよく混ぜておく。
4.3に1,2を入れて混ぜ合わせ、器に盛る。

<ワンポイントアドバイス>
1.お急ぎの時は、材料を荒く刻んで、市販のフレンチドレッシングをかけても美味しくいただけます。
2.ダイエットをしている方は、油を使わずに作っていただくとぐっとカロリーが落とせます。市販のポン酢やノンオイルドレッシングだと簡単です。
3.キュウリやミョウガのほか、シソ、木の芽なども合います。洋風にしたい場合はトマトやバジル、パセリなどを入れてみてください。

新じゃがの木の芽和え

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第34回 「新じゃがの木の芽和え」

新じゃがの木の芽和えと「玉乃光 純米大吟醸 酒鵬」


草木が芽吹き、桜も満開、爽やかな「春」がやってきました。入学や就職など、人生の節目を迎えている方も多くいらっしゃることと思います。花見や歓迎会など1年でもっとも日本酒に触れる機会も多いこの時期、華やかに普段よりちょっと贅沢をして純米大吟醸を飲んでみるというのはいかがでしょうか。

今月ご紹介するのは京都は伏見の玉乃光酒造「純米大吟醸 酒鵬」です。大吟醸らしい上品ななかにも、しっかりとした米の旨みがあり、人肌からぬる燗にうってつけのお酒です。えー?大吟醸をお燗にしてしまうなんて!という方、ぜひこのお酒をお燗でお試しください。冷たいときよりもさらに優しく上品な旨みが立ち、お料理にもぐんと寄り添うこと請け合いです。

あれよあれよという間にできてしまう、新じゃがを使ったおしゃれなおつまみを作りましょう。
じゃがいもにはビタミンCが豊富で、加熱しても壊れにくいのが特徴。ほかに、葉酸、カリウム、食物繊維なども充実していて、味も淡白。どんな調味にも対応できて便利な食材のひとつです。今回は皮もむかず、新じゃがを満喫していただこうと思います。


<材料>2人分
新じゃがいも 中2個(約150g)
オリーブオイル 小さじ2
酢 小さじ1/2
塩 少々
木の芽 数枚

<作り方>
1.じゃがいもはよく洗って、スライサーなどで千切りにし、水に放っておく。
2.ボールにオリーブオイルと酢、塩を入れ、よく混ぜておく。
3.1の水を切って熱湯に入れ、5秒ほどゆでてザルにとり、熱いうちに2にいれる。
4.3を冷蔵庫で冷やし、食べる直前木の芽をちぎって加える。温かいままで食べてもOK!

<ワンポイントアドバイス>
1.ジャガイモはシャキシャキ感が残るように茹で過ぎないこと。熱湯に入れたらすぐにザルにあげるような感じでゆでてください。
2.オリーブオイルのほかにはグレープシードオイルや太白の胡麻油など淡白な油が合います。
3.木の芽は熱に弱いので、冷めてから加えるといいでしょう。これから出てくる山椒の実でもできます。実は必ず重曹でゆでて水にとり、何度か水を取り替えてしっかりアクを抜いてから使ってください。使用量は小さじ1/2程度です。木の芽よりさらにスパイシーになります。乾燥した山椒の粉でも可です。その場合は一振りで十分です。
4.ボリュームをつけたい場合は、ベーコンやウインナーをカリカリに炒めたものを加えてください。

豚の角煮

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第33回 「豚の角煮」

豚の角煮と金冠黒松「協会八号酵母」


梅一輪、一輪ほどのあたたかさを実感の毎日ですね。気の早い桜はもう咲き始めています。そろそろ甑倒しを迎える時期でもあります。

さて、日本酒は酵母が糖を食べて、アルコールと炭酸ガスを生成するわけですが、その清酒酵母のひとつが酒名になっている金冠黒松「協会八号酵母」(純米酒)というお酒を今回ご紹介したいと思います。この酵母の特徴は酸を多く出すところ。四半世紀前に使われなくなってしまったのですが、ここ十年くらいで、数社使用するようになってきました。日本人の食生活も昔と比べて動物性の脂質をとることが増えてきたので、こういったきりっとした酸があるお酒がこれからもっと市場に増えてくるのでは・・・と思ったり致します。45度くらいのお燗にしますと、俄然膨らんできて、料理の脂を包み込み、一緒に溶け合う感じが出てきます。

やはり料理は脂の多いものが合います。定番な料理ですが、なかなかうまく作れないというお悩みもよく聞きますので、豚の角煮を作ってみましょう。煮るのに2時間程度かかりますが、一度作ってしまえば、煮汁や浮き出たラード、一緒に煮た薬味も余すことなく使えて便利です。シンプルなレシピでご紹介しますね。


<材料>2人分
豚バラ肉塊 500g程度
長ネギ 1本
しょうが 1片
調味料:醤油 1カップ、砂糖 1カップ、日本酒 1カップ、水 1/2カップ
練辛子 適宜

<作り方>
1.豚バラブロックを1.5cm程度の食べやすい厚さに切る。
2.長ネギは3~4等分に切っておく。
3.ショウガは皮付きのままでスライスしておく。
4.鍋に1~3をいれ、調味料と水を加え、沸騰するまでは強火で煮て、必ずアクを一度すくい、あとはことことととろ火で2時間煮ていく。
5.器に盛ったら、辛子を適宜つけて食べる。

<ワンポイントアドバイス>
1.長ネギがなければタマネギ1個でもOK。ニンニクを加えてもよい。
2.浮き出てきた脂と角煮、煮込んだ薬味でチャーハンを作っても美味しい。
3.煮汁には肉と薬味の旨みがたっぷり。冷蔵庫で保存して、炒め物やラーメンなどの調味料に使うと良い。
4.冷めると固くなるので、温めなおすときは電子レンジではなく、蒸し器を使うとふんわりととろけるようにやわらかくなる。
5.水菜やほうれん草などさっとゆでた青菜を添えると栄養的にもばっちりです。画像は水菜です。

豚バラのはりはり鍋

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第32回 「豚バラのはりはり鍋」

豚バラのはりはり鍋と「弥栄鶴 山廃純米」


梅の香りにつられて、気分はそろそろ春なのですが、春は名のみの風の寒さや・・・を毎日実感の日々ですね。寒いときにはもちろんお燗酒ということで、今回は寒さにも負けない濃醇なタイプをご紹介します。「弥栄鶴 山廃純米」です。京都・丹後のお酒です。この地域には小造りながら、蔵が点在しており、それぞれ際立った特徴ある酒を昔から作っています。なにより材料である米の生産地としても素晴らしく、海の幸山の幸にも恵まれている地域なんです。味わいは非常にボディと余韻ある甘みが特徴的で、当然お燗にすればよりふくよかになり、こってりとした豚の角煮や鰻の蒲焼などにとても良く合います。今回はまだ寒さも厳しいので、お手軽な食材、豚バラでハリハリ鍋とあわせました。45度~50度の高めの燗で映えますよ。

はりはり鍋は、クジラ肉と水菜のシンプルな鍋。その昔は学校給食にもよく登場していたクジラ肉ですが、昨今は数も激減し、高価な食材になってしまいました。そこで、お馴染みの豚バラ肉を代わりに使ってみました。肉からいい出汁が出ますので、煮汁に使う出汁は昆布だけで十分です。最後は昆布もおつまみで召し上がっちゃってください。
お酒の甘さと肉脂の甘さがお口で溶け合って、それはそれは至福の味わい。水菜のシャキシャキ感もいいですよ。


<材料>2人分
水菜 100g程度
豚バラ肉 100g
しめじ 1/2パック
煮汁:昆布だし2カップ、淡口醤油 大さじ1、みりん 大さじ1、酒 大さじ2
黒七味 適宜

<作り方>
1.水菜は水につけてしゃっきとさせてから、5cm程度の長さに切る。
2.豚バラ肉は5mm程度の食べやすい長さに切っておく。
3.しめじは石付をとって、食べやすい大きさに裂いておく。
4.鍋に煮汁をつくり、1~3を入れ、しんなりしたら、好みで黒七味をふる。

<ワンポイントアドバイス>
1.豚バラ肉の他に、油揚げでも代用できます。

ぶりの照り焼き

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第31回 「ぶりの照り焼き」

ぶりの照り焼きと「一生住吉 純米酒 辛口+5」


新春第一弾は、究極の定番酒ともいえる「一生住吉 純米酒 辛口+5」をおめでたい出世魚のぶりで楽しみたいと思います。住吉といえば、辛口好きで知らない方はいないと思いますが、ぶりのような脂の乗った魚と究極の相性を示しますよね。常温ですと原料香に少し柑橘系の香りも乗って比較的するっと飲めますが、温度を徐々に上げていくと、ドライフルーツのような凝縮された香りも立ち、味わいはドライな中にもボディがでてきて、ぶりの脂分と溶け合って、それはそれは酒も肴も旨さが引き立ちあいます。45度くらいが一番ボリュームを感じました。蔵では08年から全量純米酒に切り替えており、地元の米を使い、製法も昔気質の麹蓋、暖気樽を使用と手間暇惜まずが好感もてますね。今年も大いに美味しいおつまみとお燗さけでおうち酒楽しみましょう。

ぶりの照り焼きは、おうちでもよくお作りになるかと思いますが、タレに漬けこんでいませんか?しかもその漬けこんでいたタレをぬって焼いたりしていませんか?実はそれ、絶対にやってはいけないことの一つです。なぜかというと、魚の臭みやドリップがでてしまっているから。まず、ぶりは醤油だけに漬けて、別にタレを用意します。大変な手間のようですが、このタレは一度作ってしまえば、照りを出したい焼き物全般に使え、とても便利です。今回は使う分だけレンジで作っていますが、1度に1カップくらいは作って、冷蔵庫で保存しておけば、焼き鳥やうなぎのかば焼きなどにも使えます。また、今回は年初めを意識して、添えに金柑と姫くわいの旨煮を添えましたが、大根おろしなどでも十分ですのでお気軽にお試しください。


<材料>2人分
ぶり 2切(1切90g程度)
醤油 大さじ1
たれ:醤油 大さじ1、味醂 大さじ1、砂糖 小さじ1

<作り方>
1.ぶりの切り身をバットに入れ、しょうゆをかけ、5分置いたら上下を天地返しし、トータル10分漬けこむ。
2.タレの材料を耐熱の器に入れ、レンジに十数秒かけてしっかり砂糖を溶かす。
3.1をグリラーで焼き、焼きあがるときに2のタレを2~3回、つけては焼き乾かしを繰り返す。
4.器に盛って、さらにタレを少しかけ、大根おろしなどを添える。

<ワンポイントアドバイス>
1.今回の添えの簡単な作り方を記しておきます。金柑は洗って半分に切って、種を抜いたら、お砂糖を少しかけて、レンジに数秒で出来上がりです。姫くわいは洗って皮をむき、芽を1cmくらい残して、ひたひたの水にくちなしの実を入れて5分ゆで、鰹出汁に塩少々を入れて煮含ませます。新春らしい添えです。
2.ぶりの代わりにさわらや生鮭でも美味しいです。

煮なます

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第30回 「煮なます」

煮なますと「福小町 辛口純米」


急に寒さが厳しくなって街路樹も赤や黄色に色づいてきました。落ち葉もきれいですね。普段はあまりお燗を召し上がらない方でも、つい頼みたくなる季節にもなってきました。今回はなんともきれいな後味の「福小町 辛口純米」と、やさしい味わいの煮なますをご紹介します。福小町はご存知の方も多いかと思いますが、秋田県内で最も古い蔵の一つで、2012年にはIWC日本酒部門の最高峰チャンピオン・サケを受賞したお蔵です。一見華やかなタイプが多いのかなと思いきや、この辛口純米は落ち着いた香味で40度あたりで穏やかななかにも馥郁とした米の旨みが広がります。また、精米歩合70%とは思えないほど雑味ない口あたりで、後半ドライに消えていくあたり、辛口好きにはこたえられないかと思います。料理も日本料理をはじめ幅広く合いますので、万能選手ですね。

煮なますですが、酢を使用しない作り方にしました。また帆立を使用することで、旨味成分コハク酸がプラスされ、より美味しさを感じます。またうれしいことにカロリーはわずか。もりもりと召し上がっても安心ですよ。たくさん作って、徐々に味が含んでいく過程を楽しんでいただくのもオツかと思います。


<材料>2人分
大根 200g
人参 20g
しめじ 20g
むきほたて 1個
煮汁:出汁 1/2カップ、淡口醤油 小さじ1/2、塩 少々、味醂 小1
糸三つ葉 数本

<作り方>
1.ダイコン、ニンジンは皮をむき、5mm角の拍子木に切り、水からゆでてしっかり火をとおす。
2.しめじは石づきをとって1本ずつにわけ、熱湯でゆで水にとっておく。長いものは1/2に切っておく。
3.ほたては酒と塩少々(分量外)をふってホイルに置いて、オーブントースターで5分程度焼いてほぐしておく。
4.三つ葉もさっと湯とおしして、水にとり、1cm位に切っておく。
5.鍋に煮汁をつくり、下ごしらえした1~3をさっと煮、器にもりつけ、三つ葉を飾る。

<ワンポイントアドバイス>
1.作りたても置いてもどちらも楽しめるので、一度にたくさん作って味の変化を楽しんでみてください。
2.ほかに加えて良い材料として、レンコン、ごぼう、干ししいたけなども合います。
3.ホタテは干しホタテを使用しても結構です。