鰯のアヒージョ

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第60回 「鰯のアヒージョ」

鰯のアヒージョと「天狗舞 超辛純米酒」


梅雨の鬱陶しい季節がやってきました。ぜひ夏酒でさっぱりとリフレッシュしてください。今月ご紹介するのは、石川県白山市車多酒造様の「天狗舞 超辛純米酒」です。天狗舞といえば能登杜氏四天王の中三郎さん(現顧問杜氏)を思い浮かべる方が多いかと思いますが、しっかりとした米の味わいとキレで長いファンをお持ちのお蔵ですよね。

その天狗舞の夏酒は、冷蔵庫から出したての12,3度ですと、キレっキレでドライな味わいなのですが、少し室温におきますとドライななかにも天狗舞ならではの米の甘味、旨味が現れて余韻がまた楽しいのです。常温のお酒に大きめのロックアイスを浮かべて飲むのもいいですね。精米歩合60%の吟醸スペックで純米酒にも関わらず価格も懐に優しく、ブルーボトルもさわやかで、ギフトにも喜ばれること請け合いです。
天狗舞の世界を残し進化した夏酒は、往年のファンの方だけでなく、国内の新たな日本酒ファンはもとより、寿司好き、魚好きの外国の方にもぜひ飲んで頂きたい一本です。

鰯のアヒージョ


今回のお料理は、和食ではなく、旬の鰯を使ったアヒージョです。アヒージョとは低温の油で煮た料理で、スペインの居酒屋料理です。ゆっくりと火を入れた鰯はふんわりとして美味しいですよ。小さな気泡が常に出ている程度のとろ火で数分でできます。オイリーな料理はドライなお酒で引き締まりますし、お酒のリセット効果で食べ飽きません。


<材料>2人分
真鰯  2尾
塩  少々
オリーブオイル  適宜
鷹の爪  1本
ニンニク  1かけ
 
<作り方>
1.鰯は洗って頭と尾を落とし、3~4等分に筒切り(輪切り)して内臓を出し、塩少々をふって5分おく。
2.鍋(フライパンでもOK)に、鷹の爪とスライスしたニンニク、1の鰯を拭いて入れ、オリーブオイルをかぶる程度に注ぎ、オイルにも塩少々を振っておきます。
3.とろ火7,8分煮ればできあがり。

<ワンポイントアドバイス>
1.鰯は塩で脱水させたら、しっかり水気はふいてから鍋に入れましょう。
2.真鰯のほかに、しらす、海老、貝類、茸類、などでも美味しく作れます。
3.薬味として、ネギやパセリなどを加えても、味の変化がつき美味しくなります。
4.残った油は炒め物、ドレッシング、あるいはパンに塗ったりして再利用してください。ただ1度熱が入っているので、なるべく早く使用してしまってくださいね。

小鯛笹漬けの翁巻き

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第59回 「小鯛笹漬けの翁巻き」

小鯛笹漬けの翁巻きと 北の庄 純米大吟醸 杜氏大吟「野尻 和徳 醸」


風薫る初夏の好季節が到来ですね。

今月は、さわやかな季節にふさわしいすっきりとした味わいのお酒をご紹介します。福井県福井市・舟木酒造様の 北の庄 純米大吟醸 杜氏大吟「野尻 和徳 醸」です。野尻杜氏はこちらのお蔵で15年間前杜氏のもとで酒造りに携わり、33歳の時に杜氏に就任して、現在に至ります。そんな野尻杜氏入魂のお酒「北の庄 純米大吟醸 杜氏大吟 野尻 和徳 醸」。山田錦を40%まで磨き、上品な吟醸香と米の風味が同時に楽しめ、するっとしたのどごしが心地良く、食事に寄り添うお酒です。

小鯛笹漬けの翁巻き


合わせる肴は、やはり海の幸が豊富な福井ならではの郷土料理「小鯛の笹漬け」に、こちらも有名な特産品の昆布を帯状に削ったおぼろ昆布で巻いた「小鯛笹漬けの翁巻き」にしてみました。小鯛の笹漬けは、れんこ鯛を酢締めにして、笹の葉でつけたものですが、姿も美しく、もちろんそのままでも十分美味しいところに、昆布の旨味成分グルタミン酸が加わり、旨味の相乗効果が生まれ、よりヘルシーな肴になります。”翁”の意味ですが、おぼろ昆布を翁(老人)の髭に見立てた料理名で、長寿を象徴しております。添えた山葵もすがすがしく、さらに杯が進んでしまうこと、間違いなしです。これも先月同様、一切火を使わない、切って巻くだけで簡単料理ですが、とってもお酒に合いますのでぜひ定番の肴にしてください。今回は酒器も福井の越前焼にしてみました。


<材料>2人分
小鯛の笹漬け 100g
おぼろ昆布 適宜
山葵 適宜
 
<作り方>
1.小鯛の笹漬けを1/2にそぎ身にする。
2.おぼろ昆布で巻く。
3.器に盛り付け、山葵を添える。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.大葉やしょうがなどを挟んだり、レモン汁をかけたりすると、より爽快感が生まれます。

※福井の特産物 ”小鯛の笹漬け”、”おぼろ昆布”、越前焼きの酒器 などは、東京のアンテナショップ 銀座の「食の國福井館」や青山の「ふくい南青山291」 でも購入することが出来ます。

■ふくい291   http://fukui.291ma.jp

帆立と山菜のカルパッチョ

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第57回 「帆立と山菜のカルパッチョ」

帆立と山菜のカルパッチョと「北雪 純米吟醸 越淡麗 春限定ラベル」


まだ肌寒い日はあるものの、すっかり春らしくなって参りましたね。市場には筍やふきを始め、うど 、たらの芽、こしあぶら、ふきのとう、わらび、と芽吹いたばかりの山菜が並び、ああ春がやって来た!とうれしくなります。

お酒も桜や桃色のラベルを冠したものが増えてきました。今年の桜の開花はほぼ平年並らしいですが、いよいよお花見シーズン到来ですね。
今回ご紹介するのは、お花見にぴったりな佐渡の北雪酒造様の「北雪 純米吟醸 越淡麗 春限定ラベル」です。味わいはスキっとしていますが、米の甘やかさもあり、香りも穏やかな吟醸香が優しく、なによりなめらかな口当たりは日本酒ビギナーにも喜んで頂けるかと思います。使用米の越淡麗は山田錦と五百万石を掛け合わせて作った新潟県のオリジナル酒造好適米で、両方のいいところどりをしている優れた酒米です。
北雪といえば、世界的レストランNOBUに採用されたことでも有名ですが、その後も遠心分離機を導入するなど技術向上にも勤しまれています。またデパートでの試飲販売が多いのも特徴ですね。やはりフェイストゥフェイスでエンドユーザーとのコミュニケーションをはかり、確実にファンを増やしているのだなぁと思います。

さて、春と言えば貝や山菜がいいですね。合わせるお料理は「帆立と山菜のカルパッチョ」です。山菜に含まれる苦みは植物性アルカロイドによるもので、体から老廃物を出す効能が認めれています。苦みによって体が目覚めるといった感じでしょうか。
アクの少ないうどやうるい、三つ葉などでしたら下ゆでがいりませんので、切るだけです。味のポイントはレモンです。この香味がよりフレッシュ感を出してくれます。切って混ぜるだけですので、吟醸酒のおつまみの定番にしてください。なお、皮も使用しますので、必ず防腐剤のついていない、国産のできれば無農薬のレモンを使用してください。


<材料>2人分
帆立(生食用) 3個
うるい 1本
三つ葉 3~4本
国産レモン 1/4個
オリーブオイル 大さじ2
塩・胡椒 少々
 
<作り方>
1.帆立は塩水で洗い、1個を3枚くらいにスライスする。
2.うるいと三つ葉は洗って3cm位の長さに切る。
3.レモン半量は薄くスライスする。
4.ボールに水気をとった1~3と調味料、半量残っているレモンを絞り混ぜ合わせて盛り付ける。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.帆立は必ず塩水(立て塩という塩分量3%程度の濃い塩水)で洗ってください。水だと旨味が逃げて水っぽくなります。
2.レモンの皮の綿部分は苦みがあるので、スライスを食べるのに抵抗がある場合は果汁をしぼってから、皮を少し下ろして入れると良いでしょう。
3.アクの強い山菜を入れる場合は、一度下ゆでをして、冷水にとり、それから食べやすい大きさに切って使用してください。
4.この時期ですと新玉ねぎ、春キャベツやアスパラなどでも美味しく作れます。

ヤンソンさんの誘惑

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第56回 「ヤンソンさんの誘惑」

ヤンソンさんの誘惑と「龍勢 雄町 キモト造り純米酒」


沈丁花や梅のよい香りに、じんわりと春の訪れを感じる今日この頃。酒造りでは大吟醸などの仕込や上槽に追われて一番忙しい季節ですね。今、インフルエンザが猛威を振るっていますが、体温を1度あげるだけでずいぶんと抵抗力がつくのだそうです。体を温めるのにうってつけなお燗酒で乗り切りましょう。春はすぐそこまで来ています。
さて、今月のお酒はマニア垂涎の「龍勢 雄町 キモト造り純米酒」です。龍勢といえば、純米酒ファン、お燗酒ファンなら知らない人はいない銘柄。裏切らないボリュームある味わい、生もとならではの長い余韻、そして酸味がたまらないお酒です。ビギナーには少し苦手な方もいるかもしれませんが、料理と合わせていただくと、確実にお代わり続出なお酒です。

人肌くらいでぐっと甘味がましてふくよかさがでてきます。ファンの方は、いったん飛び切りにあげてから燗冷ましを楽しむようですが、そんな飲み方ができるのも、しっかりとした造りがあってこそですね。

合わせる料理は「ヤンソンさんの誘惑」です。なにやら意味深な料理名ですが、この名前の由来には諸説ありまして、菜食主義者の宗教家ヤンソンさんが、あまりにおいしそうなこの料理をつい食べてしまったことからというのが、なんだか一番ぴったりないわれのような気がいたします。北欧ではポピュラーな料理で、すごく簡単です。材料はいたってシンプル。ジャガイモと玉ねぎとアンチョビです。日本のレシピはジャガイモを千切りにするものが多いようですが、現地スウエーデンで食べたそれは、ただのスライスだったので、今回もそれに習います。味付けもいらないし、大人数の飲み会などにもぴったりです。何より、クリームと龍勢の合うことと言ったら!ありません。酒かすを少し加えてもまた、味わい深くなります。


<材料>2人分
ジャガイモ2個(200g)
玉ねぎ1/2個
アンチョビ5枚
生クリーム100cc
バター大さじ1
パン粉大さじ2
胡椒少々
 
<作り方>
1.ジャガイモはと玉ねぎは、洗って皮をむき、薄くスライスする。
2.耐熱の容器にバターをぬり、ジャガイモ、玉ねぎ、ちぎったアンチョビと順番に重ねる。
3.生クリームを2にかけ、胡椒とパン粉を振って、200度のオーブンで15分程度焼きます。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.オーブンがない方は、フライパンにバターを熱し、ジャガイモと玉ねぎを中火で炒めてから、耐熱容器に入れてオーブントースターで焼くとよいでしょう。時間は少し短めの10分程で大丈夫です。
2.パン粉は焦げやすいです。5分程度焼いたら、下火だけにするか、上にアルミ箔などをかけてください。
3.アンチョビがなければ、オイルサーディンでも大丈夫です。1/2缶くらい使用してください。
4.パン粉だけでなく、シュレッドチーズなどをかけてもいいですね。ニンニクなどもお好みでどうぞ。
5.酒かすを入れる場合は、生クリームに大さじ1程度溶かしてください。
6.少し軽い風味にしたいときは、生クリームの代わりに牛乳を使ってください。牛乳を使うときは、フライパンでジャガイモと玉ねぎを炒めるときに加えて、少し煮詰めてから使うといいですよ。

スモークサーモンと白菜の油酢和え

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第55回 「スモークサーモンと白菜の油酢和え」

スモークサーモンと白菜の油酢和え


今年も気が付けば大寒もすぎ、最も寒さが厳しい時期となりました。でもこの寒さの

おかげで魚にも脂がのり、冬野菜も甘くなるんですよね。
さて、今月は「玉乃光28pf」をご紹介します。純米吟醸一升千円代(税抜き)の、行
事続きのお正月で散財してしまったお財布にも優しいお酒です。穏やかな米の香りも
心地よく、味わいもソフトな口当たりで、どんな料理にもうまく寄り添います。

玉乃光28pf


さて、このお酒に合わせるお料理は、今最も旬な白菜です。鍋に入れたり漬物で食べ

ることが多いかと思いますが、スモークサーモンとドレッシングで合わせたサラダ風
な和え物です。サーモンのイノシン酸と、白菜のグルタミン酸が旨みの相乗効果を作
り出します。お料理とお酒のパワーバランスがベストマッチです。一晩寝かせると
しっとりとしてまた美味しいですよ。


<材料>2人分
スモークサーモン 50g
白菜 2枚
油酢:塩 小さじ1/2、柑橘系果汁 大さじ1、砂糖 少々、太白胡麻油 大さじ2、
一味唐辛子適宜
 
<作り方>
1.白菜は3cmの長さ、1cmの幅に切って軽く塩をして(分量外)10分程度おいておく。
2.スモークサーモンは食べやすい大きさに切っておく。
3.油酢の材料をボールに入れ、乳化するまでしっかりと混ぜ、そこに軽く絞った白菜
とスモークサーモンを加え和える。好みで塩昆布や一味唐辛子を振って食べる。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.柚子やスダチ、レモンなどの柑橘系果汁を使うと美味しいですが、なければ普通の
お酢で大丈夫です。
2.油も太白がなければサラダ油で代用してください。
3.スモークサーモンのほかに、オイルサーディンやツナ缶でもできます。

 

和風ビーフシチュー

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第54回 「和風ビーフシチュー」

龍力純米 熟成古酒1999


いよいよ今年も残すところあとわずかと成って参りました。ぐっと寒さも本格的になって来ましたね。今年は秋が短くていきなり冬になったかと思えば、春めいた天気もあったりで、かなり体調を崩されている方を見かけます。宴会も多い季節で正月休み前のハードな仕事の合間に忘年会が目白押しの方も多いかと存じます。どうぞお燗酒で体をいたわってあげてくださいね。

さて、今月はじわじわとファンを増やしつつある熟成酒をご紹介します。兵庫県姫路市のお蔵、本田商店様の「龍力純米 熟成古酒1999」です。17年古酒とは思えないきれいな琥珀色のお酒ですが、キャップをあけると本領発揮。黒糖やシナモンなどのスパイシーな香りが複雑に混じってしてまいります。アルコール度数も16度とやや高めなので、一口含むとパンチのある風味がぐっと立ってきて、雄町米ならではの旨味もあり、熟成酒好きには堪えられないのではないでしょうか。当然、ユニークな風味が様々な温度毎に楽しめます。一番香り味わいともにでるのが43~45度くらいの間でしたが、さらに数度上げますときりりと締まってまいりますし、飛び切り燗まで上げても面白いと思います。”通好み”のお酒ですので、あなた好みの適温をどうぞ見つけてください。なお、本田商店の本田社長は、長期熟成酒研究会の会長もされており、熟成酒に対して一方ならぬ思いがあり、その魅力をもっともっと伝えたいと日夜頑奮闘しておられます。さて、この熟成酒には合わせたのはビーフシチュー。コクのある熟成期間の長い八丁味噌仕立てのシチューです。季節の野菜をたっぷりいれてお作りください。時間はかかりますが、レシピは簡単です。


<材料>2人分
シチュー用牛肉 150g
玉ネギ 1/2個
人参 30g
蕪 1個
椎茸 2個
水 2C
八丁味噌 大さじ1.5
ドミグラスソース 大さじ3
塩・胡椒 少々
小麦粉 少々
 
<作り方>
1.肉に塩・胡椒し、小麦粉を振って、深めのフライパンに油少々を敷き、肉の表面に焼き色をつける。
2.1に水を注ぎ、沸騰するまでは強火にし、アクを引いてから弱火にして蓋をしめて1時間コトコト煮ていく。
3.玉ネギと蕪はくし切りに、人参は一口大、椎茸は軸をとっておく。
4.牛肉に竹串をさしてすっと通ったら、3を加えてさらに15分程度煮て、野菜が柔らかくなったら、ドミグラスソースと八丁味噌を加えさらに数分煮る。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.好みで砂糖少々加えて味を調整してください。酒粕大さじ1程度いれてもさらにとろみとこくがでます。
2.どうしても早く召し上がりたい時は、コマ肉を買ってきて同様にしていただくと最初の煮込み時間が1/4ほど短縮できます。
3.ドミグラスソースがない場合は、ケチャップととんかつソースを2:1でいれてください。

過去のレシピはこちらから

一文字ぐるぐる

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第53回 「一文字ぐるぐる」

純米酒 雲雀(ひばり)


まだ本格的寒さとまではいかなくても、立冬をすぎ、秋も終盤ですね。日が暮れるのがめっきり早くなりました。

今月は熊本・通潤酒造様の「純米酒 雲雀(ひばり)」をご紹介したいと思います。雲雀は熊本県の県鳥でもありますが、雲の雀とはなんと風流なあて字でしょうか。
お米はお蔵の地元、山都町産米を100%使用しています。精米率は60%、アルコール度数15度で、やや辛口のまさに飲み飽きしない食中酒です。燗ならぬるめでふわっとふくらんできたところを飲むのがベストかと思います。秋の夜長を雲雀のお燗酒でゆっくり楽しんでください。お値段もリーズナブルで懐にも優しいお酒です。

合わせる料理は「一文字ぐるぐる」にしました。ユニークな料理名ですが、熊本の郷土料理で、簡単にいうとぬたです。万能ネギをさっとゆでてぐるぐると巻いたものに酢味噌をかけて食べます。酢味噌のぽったりした味わいがまたお燗酒にぴったりですよ。ちょうど今頃からがネギ類が旬を迎えます。どうぞお試しください。ぐるぐると巻く作業は工作のようで楽しいです。


<材料>2人分
万能ねぎ 10本
白みそ 50g
砂糖 小さじ1
酒 大さじ1
酢 大さじ1
 
<作り方>
1.万能ネギは、熱湯に根に近い白い部分から入れてさっとゆで、ざるにとって冷めるまで扇ぐ。

2.練り味噌をつくる。白味噌に砂糖、酒を加え、よく混ぜてから火にかけ砂糖が溶けたら火を消してすぐに酢を加え、よく混ぜ、酢味噌にする。
3.1を根のほうから5cmくらいの直径の輪を作って残りの部分をぐるぐると巻いていく。
4.器にもって、2をかけて食べる。

<ワンポイントアドバイス>
1.ネギは青々しさを出すため、ゆでたらすぐに扇ぎます。水につけて色止めする方法もありますが、水っぽくなってしまうので、扇いだ方がいいでしょう。
2.練り味噌は数ヶ月保存がきくので一度にたくさん作っておき冷蔵庫で保存しておきましょう。酢を加えて酢味噌にしたり、焼いて田楽味噌にしたり、ドレッシングに少し加えたりといろいろ便利です。
3.ネギを巻くときはしっかりと巻きます。ゆるいとほどけてきてしまいます。

即席焼き南蛮漬

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第52回 「即席焼き南蛮漬」

いなば鶴 純米酒 生もと 強力


やっと涼しくなってまいりましたね。空気が乾燥して心地よい季節になってきました。皆様、すでにひやおろしは召し上がって頂けたかと思いますが、今月はかなりパンチのあるお酒をご紹介しましょう。鳥取県中川酒造さんの「いなば鶴 純米酒 生もと 強力」です。その名のとおり、パワフルな味わいのお酒です。強力とはお米の名前で、鳥取県のみで栽培している酒造好適米です。一時は栽培の難しさなどから姿を消しましたが平成に入り復活をとげ、現在ではその米に魅せられた蔵が増えてきました。中川酒造さんはその復活に尽力したお蔵で、「地元にしかない米と水で醸すことこそ、地酒ではないか」と、非常に地域性ににこだわった酒造りをしています。このお酒は、75%精米で米の旨味をしっかり残し、生もとつくりなので酸も蓄えていて、アルコール度数15度とは思えないボディ感です。温度をあげるほどにシャープになっていき、きりっと締まってまいります。肉の脂がたっぷりの酢豚や、モツ料理などにも向く、たくましいお酒です。

いなば鶴のボディにはやはり油や酢がきいたがっつりした味わいの料理があうので、手軽なソテー用豚肉を使った南蛮漬にしました。南蛮漬は好きなんだけど、時間がかかるからとか、キッチンが油で汚れるからいやとか、上手く揚げられないなどというお話をよく聞きます。ならば揚げなければいいのではと思いついたのが、この焼き南蛮漬。茄子のほかにも銀杏や栗といった秋の味覚を入れても美味しいですよ。これも前回同様、比率で覚えましょう。出汁5:酢2:みりん1:淡口1です。残ったら冷蔵庫に入れて翌日のおかずに。しっかり味がしみてまた美味しいです。


<材料>2人分
ソテー用豚肉 200g
たまねぎ 1/2個
ピーマン 1個
茄子 1本
唐辛子 1本
片栗粉 適宜
サラダ油 適宜
漬け地:出汁100cc、酢40cc、みりん20cc、淡口20cc
 
<作り方>
1.玉葱はスライスしておく。
2.ピーマンは乱切りしておく。
3.茄子は皮目に細かい切り込みを入れてから乱切りにしておく。
4.ソテー用の豚肉は4等分にし、片栗粉を薄くつけておく。
5.フライパンに油をしき、肉、ピーマン、茄子をそれぞれ焼く。
6.鍋に漬け地の材料を入れて沸騰させ、熱いうちに小口切りした唐辛子、玉葱、焼き上がった肉、ピーマン、茄子を入れて20分程度つけ込んでから食べる。

<ワンポイントアドバイス>
1.唐辛子がなければ、一味を振ってもいいです。
2.茄子は必ず皮目から、油を足して焼いてください。色鮮やかに仕上がります。

しめじと黄菊、春菊のひたし

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第51回 「しめじと黄菊、春菊のひたし」

超特撰 白鷹 吟醸純米


今年の夏も猛暑日が続きましたが、ようやく過ごしやすい日が増えて参りましたね。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよくいったものです。今回ご紹介するのは「超特撰 白鷹 吟醸純米」です。仕込み水は宮水、造りは生もと、酒米は山田錦100%の灘の王道酒です。きりっとしたボディと、米の旨味がしっかりとあってバランスの取れた味わいなので、常温から飛び切り燗まですべての温度帯で期待を裏切りません。合わせる料理もオールマイティなタイプです。ぜひ秋の味覚とお試しください。

キノコや秋刀魚といった秋の食材が出回り始めましたね。今回は割烹でよく出てくるおひたしをご紹介しましょう。出汁と淡口の比率さえ覚えてしまえば簡単です。おひたしは出汁10:1淡口でまずは作ってみてください。水っぽい野菜が多ければ、塩少々で調整します。


<材料>2人分
しめじ 1パック
春菊 1/2わ
黄菊 2、3輪
出汁 カップ1/2
淡口 小さじ1
酒 小さじ1
塩 少々
 
<作り方>
1.しめじは石付をとり、小分けにしてさっとゆがいてざるにとる。
2.春菊は塩ひとつまみ入れた湯でさっとゆで、水にとる。
3.菊花は、花びらだけをむしり、熱湯にひとつまみの塩と酢少々(分量外)を入れてゆで、水にとってからざるにあげておく。
4.ボールに出汁と酒、淡口醤油と塩少々を入れて、その中にしめじ、3cmに切った春菊、菊花を入れてさっと混ぜて盛り付ける。

 

<ワンポイントアドバイス>
1.菊をゆでるときは必ず酢を入れてください。発色がよくなります。また絞ってしまうとほぐれなくなるので、気をつけてください。
2.しめじ以外でもシイタケやエノキ、マイタケなどキノコ類ならなんでもできます。
3.ボリュームを出したいときは、ハムやベーコンを加えてもいいですね。その場合は一度出汁を温めてそこにハムやベーコンを煮て調味し、ほかの材料を加えます。

すり割り汁

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第50回 「すり割り汁」

竹葉(ちくは)能登純米


毎年この時期には書いているかもしれませんが、毎日うだるような暑さですね。夏ばての方も多いかと思いますが、その主な原因は汗とともにミネラルが排出してしまうから。ほかにも冷たいものの取り過ぎで胃腸の働きが低下しておなかを壊したり、食欲不振にもなりますよね。また冷房の室内と外気との温度差で自律神経が失調したり、夏はなかなかやっかいです。ぜひ夏こそお燗で体を温め発汗を促してあげたいもの。

今回ご紹介するのは能登の地酒、数馬酒造「竹葉(ちくは)能登純米」です。2014年、世界最高峰の食の祭典「マドリッドフュージョン」で名店「エルブリ」のソムリエに認められたお酒です。能登のお酒は濃醇なイメージがありますが、このお酒は比較的軽快でかつ米の優しい味わいもあり、様々な温度帯、料理に対応できる万能タイプ。ぬる間で柔らかなお米の旨味を料理とともに堪能してください。

さて、あわせる料理は旬の枝豆を使った能登の郷土料理「すりわり汁」です。枝豆は塩ゆでで食べることが多いですが、汁して召し上がったほうがたくさん食べられますし、食欲がないときでも汁なのでするするといけます。ハンドミキサーを使えば数分でできてしまう手軽さも夏場にはありがたいです。また枝豆は栄養価の高い食品で、アルコールの分解を促すメチオニンもたっぷり。ほかにもビタミンB1やカリウムなども豊富で夏ばてには最高の食品です。たっぷりと召し上がってください。


<材料>2人分
枝豆(生) 1カップ
水 1カップ
味噌 大さじ1.5
 
<作り方>
1.枝豆はさやからだして、水と合わせ、ハンドミキサーかあたり鉢でつぶす。
2.鍋に移して数分煮ると、豆の甘やかな香りがしてきます。アクをとり、味噌を溶してできあがり。

<ワンポイントアドバイス>
1.変化球ですが、残ったゆで枝豆で冷やし汁タイプもできます。ゆでた枝豆をさやからだし、水と味噌を加えてミキサーにかけるだけ。その場合は少し味噌の量を増やしてください。
2.豆のつぶし加減はお好みで。また水の量も1:1でなくても結構です。薄め、濃いめ…ご自宅の味でどうぞお作りください。
3.今回はなにも具を入れませんでしたがお好みで椎茸や豆腐を加えても美味しくいただけます。