第7回 秋鮭の秋色餡かけ

酔いどれんぬの簡単レシピ
第7回「秋鮭の秋色餡かけ」

 毎年この季節、ここまで雌と雄で格差がある生き物っているだろうかと、スーパーの魚売り場で思わされます。鱈の白子とタラコ、大体同じくらいの値段です。河豚の白子と卵巣、どちらも高級品です。しかし、生筋子(いくら)1000円に対して、鮭の白子は200円ほどとお値段に開きがあります。そんなに鮭の白子は人気がありませんでしょうか。もちもちとして煮ても焼いてもなかなか美味しいですよ。などと書いておきながら、今回白子を使うわけではありません。白子ではなく本体、秋鮭を使った秋の一皿をご紹介させていただきます。
旬の秋鮭と合わせて美味しい今月のお酒は、「御代櫻純米ひやおろし」です。色鮮やかなもみじのラベル、ねれた味わいが、秋の情緒を多いに感じさせてくれる1本です。

「御代櫻純米ひやおろし」

 明治26年創業の御代桜醸造さんは岐阜県の美濃加茂市に蔵を構えます。同地は中山道五十一番目の宿場町太田宿として栄え、その名残を残した古き良き街並みと木曽川の恵みを有する風光明媚な所でもあります。その木曽川の伏流水の井戸水を仕込み水とし、地元美濃加茂産の契約栽培米の「あさひの夢」で造られたのが今回のお酒です。
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ひやおろしとは搾ったお酒を一度だけ火入れを行ってから貯蔵し、ひと夏を越してから出荷されるお酒のことで、新酒や生酒とはまた違った魅力があり、熟成からくる落ち着きやまろみが感じられるのが特徴です。最近ではフレッシュな味わいであまりそれらしさを感じられないお酒もありますが、こちらのお酒は「らしさ」を楽しむことができる味となっております。
 色合いはやや黄色がかった透明感のあるレモンイエロー。香りは穏やかで口に含むとお米の旨味甘味が感じられ、アルコール度数が17度もあるのですが、程よい酸味がその重さを感じさせず、すっと喉に入ってきます。温めますと炊き立てのお米のような、栗きんとんのような甘味が広がり、ぐっと円熟味を増します。目の裏に美濃加茂の紅葉や黄金の稲穂が浮かべば、炒り銀杏、栗ご飯、秋刀魚の塩焼と秋の味覚も踊り出すというものです。常温でいただいても美味しいですが、お燗につけたほうがより愉しむことができ、その際の器は陶器や磁器の平盃がお勧めです。

 今回合わせる肴は、鮭に、銀杏、しめじ、菊といった秋の味覚を盛り込んだ一皿です。鮭はタンパク質、コラーゲンが豊富なことでも知られておりますが、赤い色素にはアンチエイジング効果もあるので、女性に嬉しい食材です。銀杏が栄養豊富なのは言わずもがな、カロテン、ビタミンC、カリウム、マグネシウムを多く含みます。また実は菊も栄養豊富で、中国では漢方薬としても用いられており、β-カロテン、カリウム、カルシウムなどを含み、アンチエイジング効果、デトックス効果があるとされています。美味しく食べてきれいになれる一品で、秋の夜長に日本酒をお愉しみください。

秋鮭の秋色餡かけ

<材料>(2人分)
鮭(切り身)2枚
しめじ 1/2株
菊(ゆで) 20g
銀杏(剥いたもの)10粒
出汁 200cc
日本酒 大匙5杯
醤油 大匙2杯
味醂 大匙1杯
片栗粉 小匙1杯


<作り方>
1.保存容器に日本酒大匙2杯、醤油大匙1杯を入れ、鮭を時々ひっくり返しながら30分ほど漬けておきます。魚グリルに入れ、焦げないように注意しながら7,8分焼きます。
2.鍋に出汁、日本酒大匙3杯、味醂を加えたら、むき銀杏、石づきをおとして小分けにしたしめじを加え、火にかけます。一煮立ちしたら火を中弱火にし、3分ほど煮ます。菊を加え、醤油で味を調えたら水溶き片栗粉でとろみをつけます。
3.器に鮭を盛り付け、餡を上からかけて完成。

<ワンポイントアドバイス>
1.鮭がなければ鯵や鰆でも美味しいです。
2.菊は軸からはずしたらたっぷりのお湯に大匙1杯程度のお酢を加えてゆでると色よくゆであがります。
3.ニンジンや絹さやなどを細く切って加えると、お野菜もたっぷりとれて栄養価も高まります。
4.しめじと菊、銀杏を用いた秋色餡かけは、温めた豆腐にかけていただくのもお勧めです。

稲浪理恵さんプロフィール

全国の蔵を駆け巡り年間一石の日本酒を飲む“酔いどれんぬ”こと稲浪理恵さんは、日本酒愛好家や献立検索女子に崇められるパワーブロガー。日本全国を旅し、地元食材を買い込み研鑽を重ねた独自のレシピを、SNSだけでなくリアルな日本酒の会でも提案されています。