えびまめ

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ (最終回)
81回「えびまめ」

例年よりは少し遅れておりましたが、梅が見ごろを迎えました。我が家の近くでは寒緋桜が満開です。
3月は卒業、就職シーズンで、それにともなう謝恩会、壮行会など飲む機会も多いことと存じます。また、食材もほろ苦さをまとった山菜が春を伝えてくれますね。日本は本当に素晴らしい四季に恵まれた国だなぁと思います。

さて、今月ご紹介しますのは、江戸時代から続く滋賀県・岡村本家さんの「長寿金亀 茶70 生原酒」です。日本酒度-3、酸度2.5とスペックだけをみますと今流行りの”甘酸”なのですが、70パーセント精米なので、アミノ酸もたっぷりと味わい深く、酸がキリリとしめてくれ、アルコール度数も17度と高めですので、ボディのあるお酒がお好きな方にはたまらないでしょう。
これは確実に常温以上で召し上がっていただきたく、私の場合はしっかりと60度超えまで温めてお酒のパンチを楽しんでから、じわじわと下がっていく過程の変化を料理とともに楽しみます。

「長寿金亀 茶70 生原酒」

合わせるお料理ですが、「えびまめ」にしました。滋賀県には琵琶湖を中心とした独特の食文化があり、「えびまめ」もその一つ。
琵琶湖に生息するすじえびという小さな海老と大豆をしょうゆやみりんなどで煮た料理です。ご家庭により、酢を加えたり、みりん代わりに砂糖だったりといろいろですが、これを肴に一杯は、お酒も肴も止まらないのです!海老は腰の曲がり具合から、長寿の象徴ともされており、そんな長生きを願って作られた料理なのです。お酒も縁起の良い名前ですので、ぜひ一緒にいただきたいもの。

えびまめ

 

<材料>(2人分)
大豆(乾物)1/2カップ(約65g)
すじえび…30g
砂糖・味醂・酒・淡口・濃口各大さじ1

<作り方>
1.大豆は洗ってたっぷりの水に一晩漬けておき、アクをとりながら柔らかくなるまで30分程度ゆでる。
2.鍋に調味料を入れ、1とすじえびを加え、紙蓋をして10分程度弱火で煮て、できれば数時間置いて召し上がってください。

<ワンポイントアドバイス>
1.今回はすじえびの旬だったので釜揚げを調達できましたが、通販で冷凍を購入するか、乾燥の桜海老、オキアミなどを使ってください。
2.できたてはまだ豆に味が入っていないので、必ず置いてから召し上がってください。
3.今回は少ない量でのご紹介でしたが、煮物は多く作ったほうが美味しいです。どうぞお口に合ったらたっぷりとお作りください。隠し味にしょうが汁などを加えても美味しいです。


※入江亮子氏のおうち酒簡単レシピは、今回で最終回となります。81回もの長い間まことにありがとうございました。このレシピ集は形を別にしてひとつにまとめたものを改めて公開させていただきます。なお、次回からは新しい担当者による新レシピ集を公開いたします。

◆入江亮子氏よりご挨拶◆
私は、我が国の伝統文化である郷土料理や日本酒などの伝統食文化伝承がライフワークです。その一環として、また一飲ん兵衛としてできるだけ作りやすい肴をこのページでご紹介して参ったつもりですが、来月からは稲浪理恵さんにバトンタッチしたいと思います。7年にも及び私のつたない文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

 

赤茄子の卵とじ

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
23回「赤茄子の卵とじ」

立夏を過ぎ、すっかり新緑の季節になりましたね。ゴールデンウイークは色々と行楽におでかけだったことと思います。温かくなって日によっては初夏を思わせる日もありますと、お酒も生のフレッシュ感あるものやサッパリとしたキレの良いものが飲みたくなってくるかと思いますが、今回はそんなときにうってつけの1本をご紹介します。
長寿金亀「青90」生原酒です。このお酒、精米歩合は90%で私たちが日ごろ食しているご飯と同じ程度しか研いていないのにすっきりな仕上がりになっているお酒です。しかも原酒なのにアルコール度14度です。推奨温度の5度ですと、白ワインにも似たシャープな酸が立ってきりっとした美味しさですが、38~40度程度のぬる燗にしますと酸は控えに回って、かすかな梅酒のような香りとともに、マイルドな口当たりになり、隠れていた複雑な味わいがじんわりと広がり、一口ごとに楽しめます。

「長寿金亀 青90 生原酒」と赤茄子の卵とじ

合わせるお料理は、お酒のユニークな酸味に同調をとトマトの料理を考えました。唐柿、赤茄子、蕃茄・・・これ、全部トマトの和名です。日本へは江戸時代に伝わり、今では紫や黄色、オレンジといった様々な色や大きさの品種も増え、すっかり日本に定着しています。栄養価の高い野菜としても知られ、ビタミンCをはじめグルタミン酸が多く、近年ではがん予防のリコピンも注目されていますよね。食材としても生でよし火を入れてよしの非常に万能な野菜ですが、今回は和風に卵で旨みを閉じ込めました。旬の青みも入るとぐっと美味しく見えますね。これからの季節、最盛期を迎えますので、どうぞ新しい食べ方としてレシピに加えてください。


<材料>(2人分)
トマト(中くらい)1個
そら豆・・・6~7個
卵2個
出汁300cc
塩小さじ1/4
淡口醤油小さじ1
みりん大さじ1
片栗粉大さじ1/2(同量の水で割っておく)

<作り方>
1.出汁にくし型に切ったトマトを入れ、火にかける。
2.温まってきたら、そら豆を加え、小煮立ちしたら、調味し、水溶き片栗粉でとろみをつける。
3.2に溶いた卵をなるべく高い位置から流しいれ、ゆっくりとかき混ぜ、白く浮き上がってきたら火を止める。

<ワンポイントアドバイス>
1.青みは今回使用したそら豆だけでなく、エンドウ豆や絹さや、スナップエンドウ、モロッコインゲン、枝豆など、旬の野菜ならなんでも合います。何もなかったら、万能ネギや三つ葉などでも結構です。
2.出汁も鰹出汁だけでなく、市販のコンソメや中華のインスタント出汁でも楽しめます。
3.スープのようにして召し上がりたい場合は出汁の量を増やしてください。