ヤンソンさんの誘惑

入江亮子氏のおうち酒簡単レシピ
第56回 「ヤンソンさんの誘惑」

ヤンソンさんの誘惑と「龍勢 雄町 キモト造り純米酒」


沈丁花や梅のよい香りに、じんわりと春の訪れを感じる今日この頃。酒造りでは大吟醸などの仕込や上槽に追われて一番忙しい季節ですね。今、インフルエンザが猛威を振るっていますが、体温を1度あげるだけでずいぶんと抵抗力がつくのだそうです。体を温めるのにうってつけなお燗酒で乗り切りましょう。春はすぐそこまで来ています。
さて、今月のお酒はマニア垂涎の「龍勢 雄町 キモト造り純米酒」です。龍勢といえば、純米酒ファン、お燗酒ファンなら知らない人はいない銘柄。裏切らないボリュームある味わい、生もとならではの長い余韻、そして酸味がたまらないお酒です。ビギナーには少し苦手な方もいるかもしれませんが、料理と合わせていただくと、確実にお代わり続出なお酒です。

人肌くらいでぐっと甘味がましてふくよかさがでてきます。ファンの方は、いったん飛び切りにあげてから燗冷ましを楽しむようですが、そんな飲み方ができるのも、しっかりとした造りがあってこそですね。

合わせる料理は「ヤンソンさんの誘惑」です。なにやら意味深な料理名ですが、この名前の由来には諸説ありまして、菜食主義者の宗教家ヤンソンさんが、あまりにおいしそうなこの料理をつい食べてしまったことからというのが、なんだか一番ぴったりないわれのような気がいたします。北欧ではポピュラーな料理で、すごく簡単です。材料はいたってシンプル。ジャガイモと玉ねぎとアンチョビです。日本のレシピはジャガイモを千切りにするものが多いようですが、現地スウエーデンで食べたそれは、ただのスライスだったので、今回もそれに習います。味付けもいらないし、大人数の飲み会などにもぴったりです。何より、クリームと龍勢の合うことと言ったら!ありません。酒かすを少し加えてもまた、味わい深くなります。


<材料>2人分
ジャガイモ2個(200g)
玉ねぎ1/2個
アンチョビ5枚
生クリーム100cc
バター大さじ1
パン粉大さじ2
胡椒少々
 
<作り方>
1.ジャガイモはと玉ねぎは、洗って皮をむき、薄くスライスする。
2.耐熱の容器にバターをぬり、ジャガイモ、玉ねぎ、ちぎったアンチョビと順番に重ねる。
3.生クリームを2にかけ、胡椒とパン粉を振って、200度のオーブンで15分程度焼きます。
 
<ワンポイントアドバイス>
1.オーブンがない方は、フライパンにバターを熱し、ジャガイモと玉ねぎを中火で炒めてから、耐熱容器に入れてオーブントースターで焼くとよいでしょう。時間は少し短めの10分程で大丈夫です。
2.パン粉は焦げやすいです。5分程度焼いたら、下火だけにするか、上にアルミ箔などをかけてください。
3.アンチョビがなければ、オイルサーディンでも大丈夫です。1/2缶くらい使用してください。
4.パン粉だけでなく、シュレッドチーズなどをかけてもいいですね。ニンニクなどもお好みでどうぞ。
5.酒かすを入れる場合は、生クリームに大さじ1程度溶かしてください。
6.少し軽い風味にしたいときは、生クリームの代わりに牛乳を使ってください。牛乳を使うときは、フライパンでジャガイモと玉ねぎを炒めるときに加えて、少し煮詰めてから使うといいですよ。